手紙を書いていると、あっという間に時間が過ぎた。
こすってにじまないようにとボールペンで書いたのはいいが、タイミング悪く修正テープを切らしていたので、一文字間違うたびに新しい便箋を出さなくてはならず、テーブルの上にはクシャクシャに丸められた書き損じの紙クズが散乱していた。
間違った部分だけインクで黒く塗りつぶせば良かったのかもしれないが、大事な手紙なので、それだけはしたくない。
手紙を書くのに集中していて、注文したアイスティーにも口をつけていない。
ゆえに気付かなかったが、周りの客達が、しきりに視線をよこしてくる。
アスカは恥ずかしくなり、あわてて没となった手紙(になるはずだった紙クズ)を通学カバンに押し込んだ。
おかげで、ほとんど中身のなかったカバンはパンパンに膨れ上がる。
「今日、荷物多いな。
なに入ってんだよ」
テーブルを整理し落ち着いた頃、ヒロトの軽快な声が横切った。
アスカはとっさに、そちらを向く。
「ごめんな、待たせて。
飯、行こっか」
いつもと変わらぬヒロトの優しさ。さりげない気遣い。
彼の微笑顔を見て、アスカの胸は息苦しくなった。
“私は、自分のワガママでヒロちゃんのことを縛りつけてしまったんだね……。
いま、はっきり思い知ったよ……”


