こわれもの


だけど、アスカは逃げないと決めた。

ヒロトの気持ちを、彼の願いを、最後の最後で叶えてあげるのは、自分に出来るたった一つのことなのだから――。


ヒロトとの待ち合わせまでには、まだまだ時間がある。

彼の働くゲームセンターでは、クリスマスまでの間イベントがあるらしく、今日もヒロトは仕事が長引くと言っていた。


通学途中にある雑貨屋でレターセットを買うと、アスカは《カフェ·ペルセウス》に向かった。

ヒロトと初めて待ち合わせをした店。

アスカのバイト先の目の前にある。


ペルセウスに着くと、偶然にも、あの日ヒロトと向かい合って座ったテーブル席が空いていた。

幸せ過ぎる思い出に触れるのはつらかったが、アスカはあえてその席に座り、購入したばかりの真新しいレターセットで手紙を書いた。

そう。ヒロトが選んだ、遠山マキという女性に向けて……。

《マキさんへ

………………
………………》

アスカは、自分のあるがままの想いを書き綴っていった。