こわれもの


アスカは気丈に笑みを見せ、

「ありがとう。

私は大丈夫だよ。

また、後でね……!」

「うん!! 話、聞くから!

頑張ってね!

でも、あまり無理はしないでね!?」

アスカは片手を振ることでキョウの応援に答え、急ぎ足で昇降口に向かった。

キョウの友情に胸を打たれ、早くも涙が出そうになる。

ヒロトと別れるのは、ひどく恐ろしかった。

友人二人が見守っていてくれると分かってはいても、かなり心細い。

“ヒロちゃんの手を離したら、私は、どうなっちゃうんだろう……”


両親が離婚したばかりの頃、精神的ダメージが大きく、アスカは食事や睡眠もろくに出来ない日が続いた。

両親の関係はずいぶん前に冷えていたけれど、アスカにとって、別居することになった父は、いつまでも自分の親に変わりない。

今でははるか昔の話に思えるが、父に可愛がってもらった記憶も、確かなものとして胸に残っている。

深く好きになってしまったヒロト。

彼に別れを告げる行為は、アスカにとって、両親の離婚を受け止めるのと同じくらい覚悟が必要なものであり、傷つく出来事でもあった。