こわれもの


アスカは、自分の母·千尋に、マキを重ねた。

アスカの両親は結婚生活を送る間、夫婦共働きだった。

おかげで金銭的には裕福な家庭になり、夫婦は互いの自由を尊重したかのように和やかな生活を送っていたが、その安定は、見せかけのものでしかなかった。


アスカが小学生になって数年後のこと。

ある大喧嘩を境に、夫婦の間に会話は一切なくなってしまった。

ケンカの原因はささいなことで、時間が経つと忘れてしまうくらいどうでもいいことだった。

夫婦はお互い、仕事で疲れていたのかもしれない。

その大喧嘩で精神的に疲れてしまい、以降、夫婦として必要最低限の接触をしなくなってしまった。

仕事だけが、生きがいになっていた。


両親はアスカのことを可愛がってくれたが、冷え切った関係の両親を見て育ったためか、思春期頃のアスカは不安定な思考の持ち主となる。