ヒロトと別れずに済んだ今はもう、マキのことで心を乱すことなど何もないはずだ。
ヒロトからはマメにメールが来るし、今日の放課後も会う約束をしている。
不安を感じる必要などないはず。
しかしアスカは、自分がこの状態を望んだにも関わらず、現状に不自然さを覚えていた。
ヒロトと別れたくないあまり感情のまま彼をつなぎ止めてしまったが、本当にこれで良かったのだろうか……?
“ヒロちゃんは、自分が悪者になるのを覚悟で、私にマキさんの話をしたんだよね……?
マキさんのことを話してる時のヒロちゃん、すごく悲しそうだった。
今度こそマキさんを助けたいって、思ってるんだよね……”
マキの家庭の事情。
離婚して、生活が不安定なこと。
幼い子供二人を育てながら仕事を探すことの大変さ。
アスカは、マキの立場を思い、切なくなった。
自分の親も離婚をして、少なからず苦労をしている。
“マキさんは、ウチのお母さんと同じ……ううん、もっと大変な思いをしてる……?
ウチのお母さんは社員として働ける場所があったけど、マキさんは職探しも難しいって……。
マキさんには、相談できる女友達もいなかったんだよね。
だから、唯一気を許せるヒロちゃんを頼ったの?”


