ヒロトと交際することで、アスカはやっと、家庭内で感じていた孤独を忘れることができた。
彼は精一杯、アスカを愛し、幸せにしてくれた。
「もう、ヒロちゃんがいなかったら、私は生きていけないよ……」
アスカの心からの叫びを前に、ヒロトはますます、マキを忘れられなかった自分に罪深さを感じた。
そんなつもり無かった、など、今となっては言い訳に過ぎない。
マキに対する想いを整理しきれないままアスカと付き合ったことの、報いだ。
愛情はこわい。
こんなにも、人を変えてしまう。
関わった相手の心を、簡単に壊してしまう。
「……わかった。
もう、マキの元には戻らない」
「……ヒロちゃん」
アスカは泣きやみ、顔をあげる。
ヒロトが、前と変わらぬ優しい表情でアスカを見つめていた。
「アスカにつらい思いをさせるのも嫌だ。
やっぱり俺は、アスカと一緒にいる」
それが、今の自分に与えられた使命。
ヒロトはそう、納得した。
アスカを傷つけて、自分だけマキと幸せになるなんて許されないと思った。


