こわれもの


ヒロトは出来るだけ丁寧に、マキの話をした。

アスカにも理解できるように……。


マキと付き合っていたことや、別れに至った理由。

彼女と再会したこと。

ヒロトは、包み隠さず全て話した。


最近二度目の離婚をし、第二子を施設に預け、マキが不安定になっていることも……。


ヒロトは一切、マキへの想いを口にはせず、出来事だけを語った。

アスカへの配慮のつもりでそうしたのだが、それで充分。

アスカはヒロトの本音を知った。

「もしかして、ヒロちゃんは今でも、マキさんのことが好きなの……?」

尋ねるアスカの声は、小刻みに震える。

暖房のおかげで、部屋の温度は外よりも高いはずなのに、大切なものを失う恐怖が湧いて、アスカの寒気は止まらない。

「今日、待ち合わせ場所に来れなかったのも、マキさんのことを考えてたから?」

長い静寂のあと、ヒロトはうなずいた。

「……ああ。

アスカに会いに行く前、マキから電話があった。

もう一度やり直したいって言われた……」