アパートに着くと暖房を入れ、ヒロトはアスカの体に毛布をかけた。
彼女の体には何度も雪がかかり、服もすっかり濡れていた。
ヒロトは着替えを勧めたが、アスカは気持ち的にそれを拒否した。
「付き合う前も、ヒロちゃんはこうやって私に毛布かけてくれたよね。
車に乗った時にさ」
「そうだったな……」
ヒロトは、小さな子供をなだめるようにアスカの頭をなでる。
二人の間には、この上ない居心地の悪さが漂ったが、ヒロトは思い切って長い沈黙を破った。
「アスカと知り合う2年前、俺はマキって女と付き合ってた……。
マキには、小さい子供がいた」
「え……!?」
さすがのアスカも驚いた。
ヒロトと付き合う前、アスカがキョウに恋愛相談をしていると、横からマツリが口を出してきて、そんな感じの予想をしていたからだ。
「マキさんとは、不倫、とか、そういう感じだったの?」
自分の親が離婚していることを忘れ、アスカは子供のいる女性イコール既婚者、としか思えなかった。
「ううん。俺と付き合った時、マキはバツイチだったんだ。
別れた旦那との間に授かった小さい赤ちゃんを、一人で育ててた」


