こわれもの


「なんで……!?

私、何かした!?」

アスカの目には大粒の涙が流れていた。

わけがわからない。

最近感じていた漠然とした不安の原因は、ヒロトの心変わりのせいだったとでも、いうのだろうか?

「アスカは悪くない。

アスカには、悪いとこなんて、何もない……!

俺が、悪いんだ」

ヒロトは言い、アスカを強く抱きしめたが、アスカはそこから力づくで抜け出し、玄関からアパートの外に飛び出した。

「そんな話、聞きたくないよ!」

さきほどより強く降りしきる雪の中。

アスカは無我夢中で走った。

ヒロトと別れる勇気なんて、持てそうにない。

人通りの少ない道路には、すでに数ミリの雪が積もっている。

表通りには、車が通ったと分かるタイヤの跡が伸び、それに重なるようにアスカの新しい足跡がはっきりと残った。