重箱三段分の弁当が、テーブルの上にずらりと並べられる。
二人分にしては多過ぎる量かもしれない。
これを作っている時は楽しかったのに、ヒロトの沈んだ表情を前に、アスカは憂鬱な気持ちになった。
“ヒロちゃん、ずっと黙り込んだままだね。
何を考えてるの……?”
弁当は冷え切っていたが、ヒロトはそれを見て、アスカを愛しいと思わずにはいられなかった。
マキを選んだ罪悪感を紛らわすように、アスカを抱きしめる。
「ヒロちゃん……」
「ごめんな、本当に、ごめん……」
「別にいいよ。
花火大会は、また違う日に行けばいいんだし」
「違うんだ……。
あのな、俺……。
…………もう、アスカとは付き合えない」
「……え?」
ワイングラスがテーブルから落ちた時のような険しい音が、アスカの中に響いた。
気持ちは真っ暗に、頭は真っ白になる。


