こわれもの


マツリは何か言いたげにアスカを見ていたが、

「ヒロちゃんもうすぐ来るから、マツリも早く友達んとこ行ったら?」

アスカにそう促され、仕方なさげにその場を去った。

「ああ……。じゃあな」

“マツリはいつも、気楽そうでいいなぁ”

遠ざかるマツリの背中を見て、アスカは心細くなった。

いつもは憎まれ口ばかり叩く男子だが、今のアスカには、不安を紛らわすための話し相手がほしいくらいだった。

“遅刻してもいいから、ヒロちゃんに会いたい……!!”

ヒロトは来てくれるのだろうか。

“ううん……。

きっと、ヒロちゃんは来ない……”

夜に行われる花火大会にも、二人そろって行けることはないだろう。

確信に近い予想をしつつも、アスカはその場を離れることができなかった。

きっとヒロトなら、遅れてでも来てくれる。

「ごめんな」と謝りながら、何もなかったかのように現れてくれる。

そんな、ひとすじの望みを捨てられなかったのだ――。