こわれもの


「それより、腹減ってない?

アスカは、何食いたい?

どこでも連れてく」

ヒロトの先導で、アスカはカフェを出た。

駐車場に停められたヒロトの車に案内され、アスカは目をしばたかせつつ、助手席に乗った。

ヒロトは、中から助手席の扉を開け、再び謝る。

「今日はごめんな。

こんな時間まで待たせて。

家の人、大丈夫?」

「はい、友達んちで勉強するって言い訳してきました」

アスカはやや皮肉るように言う。

「ヒロトさん、こっちの予定聞いてくれないんだもん。

正直いまも戸惑ってます」

「そっか。ごめんな……。

年下のコとご飯行くの初めてだし、門限とかそういうの、考えれてなかった。

本当ごめんな」

改まった口調で謝ると、運転席に座ったヒロトは後部席に手を伸ばした。

その瞬間彼と顔が近づき、助手席のアスカは不覚にも緊張してしまう。

彼からは、男性用シャンプーの爽やかな匂いがした。

タバコの煙が漂うゲームセンターで働いているとは思えないほどに。