こわれもの


天候の良い12月の駅前ロータリー。

たしかに、アスカの姿は周りのにぎやかな喧騒からは浮いていた。

何時間も同じ場所から動かず、無言でうちひしがれていては、無理もない。

アスカは周囲の視線が気にならないほど落ち込んでいた。


「マツリは、こんなとこで何してんの?」

「これから、この近くで中学ん時のヤツらと会うから」

「そうなんだ。

楽しんできてね」

アスカは無理に作り笑いを浮かべたが、今、マツリに会えて良かったのかもしれない。

少なくとも、マツリといるこの瞬間だけは、どん底まで落ち込まずに済む。

マツリはしげしげとアスカを見遣り、

「お前は?

ヒロト待ってるんじゃないの?

あいつ遅刻してんの?」

「ううん、違う違う!

私が、ちょっと早く来過ぎてさ。

待ち合わせ、2時なのにね」

ヒロトのことを悪く言われたくなくて、アスカはとっさにそんなウソをついた。

ヒロトとの待ち合わせ時間は、午前10時。

その時間はとっくに過ぎている。