“ヒロちゃん……。
何してるの……?”
午後1時を回ると、アスカの気持ちはもう、限界まで弱っていた。
この数時間のうちに、何組ものカップルや家族連れがアスカの座るベンチ前を通り過ぎていった。
そのたびアスカは、ヒロトとは二度と会えないのではないかと、予知夢めいたものを見た気がした。
“これ、無駄になっちゃったな……”
ヒロトに抱きつく時のように弁当入りトートバッグを両手で抱きしめ、そこに顔を伏せた。
涙が出そうになる。
今頃、ヒロトとこれを食べているはずだった。
そうして、彼に喜んでもらっているはずだったのに……。
「おい、なに暗くなってんだよ」
涙がこぼれそうになる直前、アスカの前に荒々しい口調の人間が現れた。
「マツリ……」
「お前、周りから浮きすぎ。
みんな、そっちジロジロ見てたけど」
マツリは学校での態度と変わらぬ感じで、アスカに接する。


