こわれもの


弁当入りトートバッグを両手で抱え、ロータリー付近のベンチで待つこと40分。

アスカはケータイで時間を見て、ため息をついた。

“ヒロちゃん、遅いなぁ……。

寝坊……?”

30分程度の遅刻なら、道が渋滞しているのだろうと前向きな気分で待てるが、待ち合わせ時間を過ぎてもうすぐ1時間になる。

アスカの気分は、穏やかではなくなっていた。

連絡もなく、ただひたすら待たされているだけの状態が続くと、不安になる。

“もしかして、またドタキャン?”

そんな、ヒロトを疑うような薄暗い思考に陥ったら最後、マイナス思考のリフレインは必至。

ケータイを何度見ても、ヒロトからの連絡はない。

“ヒロちゃんは、悪気があって遅刻するような人じゃない!

信じないと!!”

心に残ったほんの少しの希望に賭けてアスカは待ち続けてみたが、結局、正午を過ぎても、ヒロトはロータリーに現れなかった。