こわれもの


アスカは、ヒロトとの待ち合わせ場所にいた。

前から計画していた、隣県の花火を見に行く予定だ。

“冬に花火見るなんて初めてだし、楽しみだなぁ”


普段なら、ヒロトが車でアスカ宅まで迎えに来る、というパターンなのだが、今日はアスカ宅の最寄駅で落ち合う約束になっている。

というのも、今日は祖母の友人数人がアスカ宅に遊びに来る日だからだ。

祖母の目を気にし、アスカは何となく、ヒロトに迎えに来てもらうのが照れくさいと思ったのだ。


約束の、午前10時。

花火の上がる時間までまだまだ余裕があるが、花火大会の会場までは片道長いので、ドライブを楽しみつつ向かうことになっている。


日曜日ということもあり、駅前の人通りは多い。

前もってヒロトに指示されていたロータリーで、アスカは彼を待った。

“ヒロちゃん、早く来ないかなぁ……”


予定からして、今日ヒロトは、一日中運転しっぱなしの状態になる。

彼が少しでも運転疲れを忘れ花火を楽しめるように、と、アスカは不器用ながら手作り弁当を作って持ってきた。

そのせいで荷物はやけに重かったし、仕込みのために早起きしたので少し眠かったが、ヒロトと花火を見れる楽しみの方が大きくてそんなことはちっとも気にならなかった。