アスカの家庭環境を思い出したヒロトは、電話の向こうで弱っているマキに言った。
「子供は、親の言動をよく見てるし、親が考えてることも敏感に感じ取る。
大人社会では常識になってる上辺だけの言葉や取り繕った態度じゃ、ごまかせない」
『……ヒロト』
「施設に預けるのは最終手段だって、分かっただろ?
今からでもいい、アリサに戻ってきてもらってさ。
貧乏でも、多少金に困っても、チビ達のそばにいてやれよ。
チビ達にとっては、マキが……母親がそばにいることが大事なんだから」
『そうかな……?
私、ちゃんと“母親”できてる?』
マキは不安げだ。
「大丈夫。いきなりパーフェクトにこなせる親なんか、どこにもいない」
子供に対する対応を間違ってしまったり、失敗したとしても、親に愛情があれば、子供は必ず許してくれる。
ヒロトはそう言いたかったのだ。
「マキにその気がなくても、チビ達を傷つけてしまうこととか、あると思う。
父親がいないことも、そうだ。
でも、それでいいんだよ。
母親がそばにいるだけで、子供は安心できるんだから」


