マキが最初の結婚生活の中で産んだ、上の子供。第一子。
マキと交際していた頃、ヒロトは毎日のようにその子に会っていた。
よく遊び相手になっていたからか、ヒロトはその子に慕われていた。
『まだ小さい子供だから、兄弟や父親と別れたって、そんなことすぐ忘れてくれるだろうって、甘く考えてた。
そんなの、私の……母親の身勝手な考えだったんだって、あの子の涙見て気付かされたよ……』
マキは、最初に結婚した、第一子の父親でもある男のことを話した。
『アイツは最低な男だった。
借金作って、機嫌が悪くなると暴力振るうし、別れて正解だって、私は思ってた。
……でも、子供にとっては、いつまでも、何があっても、父親なんだよね……。
小さかったから父親のことなんて忘れてると思ったけど、そんなの私の勘違い。
アイツ、私には嫌な部分ばかり見せつけてきたけど、子供には甘かったからね』
ヒロトがこの話を聞いたのは初めてではない。
マキと交際していた時も、何度か聞いていた。
それがマキなりのストレス解消法だと察し、ヒロトは初めて聞いた話のように、新鮮な相槌(あいづち)を打つ。


