こわれもの


マキとの接触で、またもやアスカとのデートをドタキャンするようなことは避けたい。

本日はあえてマキからのメールを無視し、ヒロトはアスカの元に向かおうとした。

だが、マキの自立を応援すると決めた以上、ここでマキを無視するのも最低な行為だし、中途半端な同情はしていけないと感じた。

“もしマキに何かあったのなら、今度こそアスカには、本当のことを話そう……!

悩ませるかもしれないけど、黙ってコソコソとマキに関わるくらいなら、マキの問題をアスカと共有した方がいい……!

やましいことなんて、何も無いんだから!”


《助けて、ヒロト。

つらい。

苦しい……。

もう、ダメ。

私、間違ってたのかもしれない……》

マキからのメールにはそう書かれている。

絵文字や顔文字も入っていない。

マキは、精神的に不安定だ。


マキに電話すると、彼女はすぐさま出た。

『……ヒロト……』

涙声の彼女に、ヒロトは思いやるように言葉をかける。

「メール見た。

どうした?」

『上のチビが、泣きやんでくれないの……。

この前別れた旦那を思い出して、寂しくなったみたい。

最初の人と離婚した時も、そういうことがあったんだよ……』

上の子供が泣き止まない理由は、それだけではなかった。

上の子供は、先日マキが児童相談所に預けた下の子·アリサがしばらく帰宅しないことを察し、悲しんでいるのだ。