こわれもの


そうなると、マキがヒロトを頼るのは自然な流れであり、仕方のないことだった。

プライドを捨てて相談できる相手は、ヒロト以外になかった。

それに二人は、嫌い合って別れたわけではない。


ヒロトにもそう告げたように、マキは再婚後もヒロトとの恋に未練を消せなかった。


ヒロトはただでさえ、面倒見が良く困った人間を放っておけない性分だ。

自分を頼りにしてくる相手がマキとなると、なおさら、知らんぷりはできない。

彼女のことを、別れてからも好きだったからだ。

嫌いになって別れたのなら、ヒロトはここまでマキに肩入れすることもなかっただろう。


いつかマキが立ち直ってくれたら、その時はそっと彼女のそばから離れよう。

マキと再会したばかりの頃、ヒロトはそう思っていたし、アスカにも無用な心配をかけたくなかったので何も話さなかった。

マキと浮気する気など毛頭なく、ヒロトはただ、彼女の昔の知人として、マキが自立するまで支えてあげたいと考えていただけだった。

しかし、そんな親切心は、ひっそりと忍び寄っていた事態で急変することになる。


転機は、12月に入り、風がだいぶ冷たくなる頃に訪れた。

アスカと会う約束をしていた日曜日の朝。

彼女に会うべく家を出ようとしていたヒロトの元に、マキから一通のメールが届いた。