こわれもの


マキは泣きそうな笑みを浮かべ、ヒロトの方を向いた。

「ごめん……。

本当は、ヒロトの新しい恋を応援する気なんて全然なかった」

「なら、どうして……!

どうしてそんなこと!?」

「……最初、その子への告白を勧めたけど、それはヒロトとつながっていたかったから。

親友として、ヒロトのそばにいたかったから」

「なんで、そんな大事なこと黙ってたんだよ……!

マキは、俺を嫌になって振ったはずだろ? 違うか?」

「そうだよ……」

マキはうつむき、震える両手で口元をおさえ、涙を我慢した。

「たしかに、あの頃の私は、いつまでも定職に就かないヒロトに不安を感じて、別れたいって言った。

でも、それは賭けだったんだよ……。

私が離れれば、ヒロトは危機感を覚えてくれるんじゃないか、って。

実際、ヒロトは変わってくれた。

今、ちゃんと就職してるよね」


しばらく考え、ヒロトは言った。

「……ありがとう、マキ。

でも、もう、そんなこと話すような仲じゃないだろ、俺達は。

もう、2年前に終わったんだから」

「終わってないよ!」

マキは声を荒げる。