こわれもの


部屋に戻りソファーに寝転ぶと、ヒロトは、アスカとの約束をドタキャンしてしまった日のことを思い出した。

とても、アスカには話せないこと。

なぜなら、その理由はマキにあるからだ……。


アスカと出かけると決めていた日。

彼女を迎えに行くため、ヒロトはアパートを出て駐車場に向かい、車に乗り込もうとした。

すると、泣きはらした顔のマキがヒロトの前に現れたのである。

どうやら、待ち伏せしていたようだ。

マキは、泣いていたことを隠すように満面の笑みを見せ、

「今から彼女と遊ぶの?」

「ああ。

マキこそ、こんなとこで何やってんの?」

「……ヒロトに、会いたくなって」

マキは言い、微笑した。

「なんてね。冗談。

彼女と、楽しんできてね」

待ち伏せしていたことなど無かったかのような顔つきで、マキは駐車場を離れようとした。


「ちょっと、待てよ」

様子のおかしいマキを放っておけず、ヒロトは彼女を引き止めた。

「俺に彼女いるって知ってて、会いに来るのはどうかと思う。

……もう、俺と関わらないでほしい」