こわれもの


最近、アスカのことを不安にさせている。

これではいけない。


アスカと別れたその足で、ヒロトは自宅アパートに戻った。


アスカは中間テストが近いらしく、しばらくバイトも休むと言っていたし、ヒロトとも遊べないらしい。

もちろんヒロトは、彼女の負担にはなりたくないので、中間テストの期間中はアスカに会わなくてもいいよう気を配るつもりだったが、アスカの方がその状況に耐えられなさそうである。

元々アスカは、親と離れ離れで暮らしている身。

ヒロトも一人暮らしをしているが、彼は精神的な自立も早かったので、今さら親と住む気など湧かないし、ホームシックにもかかったことがない。

むしろ、自由気ままなこの暮らしに満足している。

しかし、アスカは違う。

仕方ないこととはいえ、両親が離婚して以来、アスカは唯一の家族である母親にも、充分甘えることができない環境にいた。

再婚前、会社員として働いていた母親は、仕事を優先せねばやっていけず、アスカをかまう時間はあまり作れなかったそうだ。

しかも、アスカはまだ10代。

これまでの生活の中で、親に甘えたい場面がたくさんあったに違いない。

授業参観に、母が仕事で来られないことも、アスカにとっては珍しくないことだった。

そんな彼女を寂しい気持ちにさせてしまい、ヒロトは心底申し訳ないと思う。