こわれもの


肌を焼く太陽の光。

湿気の多い校舎。

熱を放つコンクリート。


「やる気でない~」

夏休みが明けて、半月ほど経った教室内。

いまだに汗でベタつく体を不快に感じながら、アスカは机で頬杖をついた。

「夏休み明けから、ダルいよね。

もっと休みたかったぁ」

キョウは言い、アスカの前の席に座る。

「クーラーに当たりたい。

……はぁ。やる気しない」

アスカはそれきり、口をつぐんだ。

今日のアスカは、何かがおかしい。

いつもなら、グチを言うとすぐに元気を取り戻すのに、今の彼女は無気力。

それは、熱さのせいだけではなさそうだ。

「心ここにあらず、って感じだな」

そんなアスカの様子を見兼ねたマツリが、二人の元にやってくる。

アスカは友人二人に甘えるような目を見せ、

「だって、最近のヒロちゃん、変なんだよ。

前もって約束してたのに、ドタキャンするし……。

夏休み明けてから、そういうの増えてさぁ。

昨日で3回目!

次はいつ断られるんだろって思うと、なんかモヤモヤするし、不安……」

「仕事で、急な用事でも出来たんじゃない?」

楽観視するキョウに、アスカは不服そうな目を向ける。

「ううん。仕事の時間は、前と変わってないはずなんだよ。

ヒロちゃんのシフト表もらって、私がヒロちゃんに休み合わせてるから、すれ違うわけないし……。

何でいきなり断られるようになったのか、気になる……」