マツリやキョウと別れ帰宅したアスカは、自室に引っ込むなり、顔がニヤけるのを感じた。
書店で立ち読みした恋愛レッスン的な本の内容を思い出し、自分はやはり幸せ者だと、再確認できたからである。
《いい恋愛をしている女性は、自分にとって心身共に良好な自分でいられる》
そんな一文を目にし、納得することで、ますます自分を好きになることができた。
ヒロトに恋する自分は、いつも気持ちにゆとりがあり、人に対して優しくなれる気がした。
元カレと付き合っていた時は、独占欲のかたまりで自分の嫌な面ばかりが前面に押し出されていた。
そういう視点から見ても、元カレよりヒロトとの相性が良かったと考えるのは自然なこと。
“今の自分、好きだなぁ”
アスカは心からそう思った。
ヒロトのおかげで毎日が楽しいし、顔を合わせるたび険悪なムードの絶えなかったマツリとも、普通に接することができている。
祖母に対してひねくれた気持ちも抱かなくなったし、まだ一緒に住む勇気は持てないけれど、母の再婚をやっと受け入れることができた。
だからこそ、これ以上の幸せなんて無いし、もちろん不幸になる自分なんていうのも、予想していなかった。


