楽しい毎日は過ぎるのが早く、気づけばもう、アスカにとって高校生最後の夏休みが目前に迫っていた。
去年までとは違い、教室内はどこかピリピリした雰囲気である。
夏休みに入るまでに進路を決めなければならないという、アスカにとっても悩ましいハードルが待ち構えているからだ。
夏休みまで、あと3日を切っている。
本来、楽しみであるはずの夏休みも、進路が決まっていないアスカにとっては憂鬱の材料でしかなかった。
帰りのホームルーム直前、アスカはキョウに言った。
「やっぱり、高校卒業したら、フリーターになって、ずっとヒロちゃんのそばにいたいなぁ……」
クラスメイトが続々と進路を固めて勉強に励む中、自分の考えがいかにいい加減か、アスカは痛いくらい自覚していたが、それを消し去る方法など全く分からない。
キョウはアスカの心情を察しつつ、
「でも、ヒロトさんはそれに反対してるんでしょ?」
「うん。自分が本当にしたいことを見つけるべきだ、って……」
「だったら、適当でもいいから、それっぽい進路にした方がいいんじゃない?」
「そうなんだけどさぁ……」
前からヒロトに関する話を一通り聞いていたキョウは、アスカにこう助言する。
「私も夢なんて特にないし将来どうするかなんて深く考えてないけど、就職するのもまだ早い気がするし、とりあえず短大行こっかな~と思ってる。
そこ、資格取るのに有利な学科があるんだよね。
そういう理由でも、充分じゃない?」
普段、あまり真面目な話をしないキョウですらも、それなりに考えて進路を決めているのだと知り、アスカはますます焦った。


