ヒロトがいると、アスカは自分に素直になることが出来た。
今までは、周りに弱い自分を見せたくなくて、人前で泣いたりグチをこぼすこともしなかった。
学校でもっとも仲良くしているキョウにすら、母への想いを語ったことはない。
けれど、ヒロトといると、アスカは自然体でいられた。
ヒロトは、アスカからたくさんの連絡を受けても元カレのように邪険にしたり見放すことなく、彼女の寂しさを解消しようと努力した。
アスカとヒロトが付き合い始めた日、
『メールは、1日2回までしかしない』
ヒロトは、二人の間にそんなルールを設けた。
『付き合いたてだからいっぱいメールしたくなるのも分かるし、俺もそうしたいけど、二人の関係が続いていくにつれて、絶対に落ち着く時がやってくる。
そしたら自然にメールの数も減るだろうけど、そんな時、アスカは絶対、俺から来るメールの数で不安になると思う。
だから、ずっと変わらず、お互いにメールするのは1日2回まで。な?』
付き合い初めて4ヶ月が経った7月下旬の暑い日。
アスカは初めて、ヒロトが定めた《メール1日2回ルール》に感謝した。
最初は物足りなく感じたが、今ではアスカにとってもこれが普通である。
交際当初から、それに慣れておいて本当に良かった。


