教室に残ったキョウは、窓から外を眺めた。
眼下には、グラウンドと通学路が見える。
「あ! アスカだ」
早足で校門を抜けるアスカを見つけた。
同じく教室に残っていたマツリは、キョウの横に並び、無言で外のアスカに視線をやる。
「あのさ、マツリって、何でアスカにはキツイ言い方ばっかりするの?」
キョウは遠慮がちに、だが、しっかりした口調でそう尋ねた。
「強気そうに見えるかもしれないけど、アスカ、けっこう傷ついてると思うよ」
「俺がキツイから?」
「……うん。
アドバイスするとしても、もうちょっと優しい言い方できない?」
「アイツの相談に、何でもかんでも『ウンウン、そうだね』って肯定的な言い方するのが優しさだとは思わない」
「そうかな?
マツリみたいに、あえて厳しいことを言って勇気を出させてあげるのも大事だとは思うけど……。でも……」
「勇気、ね……」
二人はしばらく、遠ざかるアスカの姿を窓際から見ていた。


