こわれもの


放課後になり、空が茜色に染まっていた。

春が近いせいか、少し前より日が長くなった気がする。

キョウやマツリに帰宅の挨拶をするなり教室を抜け出すと、アスカはバイトに向かった。

“今日はヒロちゃんに会える~!”

心躍るとはまさにこのことだと、アスカは思った。

体のどこかに羽が生えたかのように、足取りは軽い。

元カレのことを思い出すことも減っていた。


この先、ヒロトとどうなるのかは分からない。

欲を言えば、完全に自分のものにしたい。イコール、彼女になりたいということ。

“でも、最悪、片思いでもいいかも”

ヒロトのそばにいられる。

彼と話が出来る。

ただそれだけで、アスカは満たされていた。