「二つ。光と闇。黒と白。生と死。相反する力。
ねえ、キョウ。貴方はどっちかしら?」

「……どういう意味だ」

「ふふ。染まるのも、堕ちるのも簡単よ。
その内に秘めた想いも、全て含めて私は貴方が愛しいわ」

「……」


その時、パチンと何かが弾けた音がしたと同時に、目映い程の光が室内を包む。
その光で目が眩んだ僕は、ゆっくりと瞼を開けキョウの姿をどうにか捉える。


ぼんやりとした視界の中、見えたキョウは白い光に包まれていた。



生唾を飲み込むと、僕はぽつり。
キョウと名前を漏らした。


だけど、それは届かない。




「どうかしら?力が溢れてくると思わない?」

「……凄い」



何度もその感触を確かめるように、キョウは手を握り締めては開く。
キョウを包んでいた光はもう消えていて、あれは幻だったんじゃないかと疑ってしまう程、辺りは薄暗い。


エレノアはキョウから僕に視線を移すと、その声を張り上げた。


「ルーイ。貴方はどうする?」


よく通る声が僕を誘惑した。


強くなりたい。
その気持ちは嘘じゃない。


だけど、静かに首を振ってキッとエレノアを睨みつけた。