奇跡事【完結】


「不完全ね。醜い。だけど、美しいわ」

「……貴様」

「ふふ、その瞳も素敵。私を殺したいの?
そうね。それも素敵かもしれないわ。でも、私の命はたった一人だけのものなのよ。
それに、貴方じゃ私を殺せないわ」

「……何だと?」

「自分の力量を押し測れない程、貴方は無能じゃない筈よ」

「……生憎、無能でな!」



そうぼそっと呟くと、カタラは真っ直ぐにエレノアに向かって行った。
魔法を使っていないのに、あまりにも俊敏な動きであっという間に距離を詰める。


だけど、それまで。


「そう。残念だわ」


さっきと全く変わらない恰好のまま、エレノアは言った。
それからちらりとカタラを見る。


エレノアの台座前で、カタラは微動だにせず固まっていた。
ボタボタと腕から滴り落ちるのは、カタラの血。


動きを止められ、そしてどうやったのかはわからないけど、その腕が切り落とされていた。