奇跡事【完結】


「……」

「大丈夫ですか?」

「……あな、た達は?」

「私はサーシャ。エレノアに会いに来たんだけど、部屋に貴方が倒れていたから」

「エレノ、ア?」

「覚えてないの?」


キョウが少しだけ眉間に皺を寄せると、彼女は申し訳なさそうに一度頷く。


「何も。気付いたらここにいたから」

「じゃあ、名前は?」

「……カノ」

「カノ?それが貴方の名前?」

「そうだと、思う」

「記憶があやふやなのか?」


カタラがカノの額に手をあてながら尋ねる。
カノは首を傾げ、曖昧に笑うだけだ。


「まあいい。パチフィスタに看てもらおう。歩けるか?」

「……なんとか」


彼女は小さく頷くと、サーシャに支えながら立ち上がった。
僕達とカノは一緒に部屋を出てエレノアの元へと向かう。