奇跡事【完結】


「僕から離れないでね。特にカタラ」

「わかっている」


それからパチフィスタと一緒に中へと進む。
門を一歩、潜り抜けた時だ。



―――――――ルーイ。



あの声がまた聞こえて、キィィィンっと頭に痛みが走った。



「っ!」



思わず、痛みに顔を歪めるとパチフィスタがくるりと振り向き、笑顔を見せた。
そして呟く。


「呑み込まれたら、僕は助けてあげられないからね」

「……」


どういう事だ?

呑み込まれる?誰に?何に?



「言ったでしょう?僕はエレノアとは話ししたくないって」


その言葉を残すと、パチフィスタは一瞬にしてその場から消え去った。
驚いて辺りを見回す。


彼は。
門の外に立っていた。


相変わらずの笑顔を携えて。