奇跡事【完結】



「ほら、ルーイも行くよ」


キョウが僕の腕をぐいっと引っ張ると、立ち上がらせる。
「ありがと」と小声で伝えた僕にキョウは笑った。



「エレノアの神殿へレッツゴーー!」

「……連れてくのは僕なんだけど」

「細かい事は気にしな~い!」

「ハイハイ、わかりました」


そんな掛け合いをしながら、パチフィスタはスッと右腕を上げる。
グンっと頭がどこかに引っ張られる感覚を味わった後、僕達の目の前に広がる景色は変わっていた。


大きな塀に囲まれたお城の様な、建物。
これがエレノアの神殿。


その神殿の周りに生えた木々にキラキラと色付く、果実。
これが、エレノアの恵みってヤツだろうか。


今まで見たことのない果実に、僕は見入っていた。
それはサーシャもキョウも同様のようで、カタラに話しかけられるまでずっと眺めていた。



「中に入るぞ」

「っ!う、うん」


我に返ると僕達は慌ててカタラとパチフィスタの元へと向かった。
既に二人は神殿の門の前に来ている。