奇跡事【完結】



「僕みたいに魔力が強い人ってのは、貴重なんだよ」

「そうなの?」

「うん。双子には魔力が宿るって謂われててさ」

「え?パチフィスタは双子なの?」

「そうだよー。僕は弟。兄がいたんだ」

「それじゃあ、今そのお兄ちゃんは?」

「死んだよ」


淡々と、そしてあっさりと告げるパチフィスタ。


それに、色々質問していたサーシャは息を呑んだ。
顔を擦っていた僕も、聞いていたキョウも。


カタラは知っていたのか、無表情だったけども。


実の兄が死んだと言ってるのに、パチフィスタの表情は変わらない。



「そ、そっか。そうだったんだ。ごめんね」

「何で謝るの?」

「だって、身内が亡くなったんだもん。
あー、もう行こう!そうだ!行こう!うん、パチフィスタ行こう!」

「……?うん、いいけど」


微妙に納得してない顔だったけど、パチフィスタはサーシャの言葉に頷いた。