「で?付いてくる気にはなったのか」

「そうだね。ちょっと面白そうかな。それに、久々にエレノアも見たいし」

「そうか。それなら助かる」

「あ。でも、僕エレノアと話はしたくないよ?
だって、彼女と話すと黒に染まりそうになるんだもん」

「……黒?」

「うん。僕、これでも平和主義者だから。
エレノアみたいな全身が黒で覆われてる様な人とは話したくないんだ」

「エレノアって、悪い人なの?」


二人の会話に割って入ると、僕はそう尋ねた。


だって、ここの街の人々はエレノアの恵みだって彼女の存在を崇めていた。
それに、伝承では魔物を倒したとされていて、謂わば英雄と言われてもおかしくない存在だ。


パチフィスタは目をくりくりとさせて僕を見る。
それから、その瞳をゆっくりと細めて行った。


「彼女は真っ白でもあって、真っ黒でもあるんだ」



そう、放ったパチフィスタの言葉の意味はサッパリわからなかった。