「最大限に魔力を抑え込められてるから、誰も気付かなかったんだろうね。
それに、なんだろう。そこの君と、君はエレノアの匂いがする」


そう言ってパチフィスタが顎で差したのは僕とキョウだ。
眉を顰めながらキョウが言葉を反芻する。



「エレノアの、匂い?」

「そう。なんでかはわかんないけど。あ、でも。
君達からはデシーヴの匂いもするよ?」

「おじさんのも?」

「一緒にいたからとかじゃないよ。だって、そこの女の子からは匂いしないし」

「何を言ってるか、さっぱり…」



首を傾げるキョウの眉間の皺は深くなるばかりだ。
僕も彼が何を言ってるのか、全く理解出来ない。



「不思議、だねえ」



意味深に言葉を区切ると、パチフィスタはニヤリと口元に弧を描いた。
それに僕達は口を噤む。

そんな不穏な空気を破るようにカタラが口を開いた。