奇跡事【完結】


「ええ?可愛い子がいたら口説くでしょ?そりゃ。
……てか、カタラ以上に殺気放ってる子がいるからやめようかな」



パチフィスタは口元に弧を描くと、スッとサーシャから離れた。と、同時にカタラの隣に移動する。
一瞬の出来事で、僕達はまた目を見張った。



「……消えた」


僕がそう漏らすと、パチフィスタが嬉々とした声を出す。


「消えた?違うよ、これは魔法。魔法でちょっちょちょーいと移動したの」

「魔法?」

「そう、魔法。僕はこれでもれっきとした魔法使いで…いだっ」



流暢に話すパチフィスタの頭を、突然カタラが一発殴った。
涙目で殴られた部分を抑えるパチフィスタ。



「いいから、早く家に連れていけ」

「ハイハーイ。これだから乱暴者はイヤだよ」

「……」

「ごっめんなさーい」


おちゃらけながらべーっと舌を出すと、パチフィスタはスッと右腕を上げる。
そして、気付いた時には僕達は見知らぬ場所に移動していた。