奇跡事【完結】



「そうだ、エレノアが神殿にいるお陰でここら一帯は食料に困った事がない」

「どういう事?」

「エレノアの魔力は大きいからね。どんな作物でも、エレノアの神殿の周りではよく育つ」

「……エレノアって凄いんだ」

「凄いなんてもんじゃない。俺達はエレノアなくして今の生活を維持出来ないんだよ」


その時、僕の頭に浮かんだのは。


“……俺を殺したければエレノアを殺せ”


……サーティスの言葉だ。


僕達がサーティスを倒すために、もしもエレノアを殺すことが必然だとしたなら。
ここの街の人々の生活までもを脅かしてしまうのか。


そんなの出来るわけない。
どうして、サーティスがエレノアを殺せと言ったのか。


それがわからなければ何も出来ない。