数時間森の中を歩いて、やっと開けた場所に出る。森を抜けたんだ。
疲労から僕は無言だったけど。
付いていくのに必死だ。
その時。
カタラは立ち止まり、一点を指差した。
「あそこがマヒアだ」
自然と僕達はその指先を辿る。
その奥に見えたのは大きな街。
僕達が初めて訪れる、他の街。
「付いて来い。案内してやる」
サーシャと僕は顔を見合わせる。
さっきまであんなに疲れていたのに、その足取りは軽い。
街の中に足を踏み入れると、初めて見るお店に胸を躍らせた。
サーシャも同様で、目移りしそうな程のお店をきょろきょろと見回す。
「ねえ、これってなんて言うの?」
「それはマンゴーだ。果物で、甘い。食べてみるか?」
「えっ、いいの?」
「ああ」
サーシャは尋ねただけだったのに、カタラが購入してくれると聞いて目をぱちくりとさせた。
カタラは僕達、三人分を購入すると手渡してくれる。



