「そうか。なら少し早いけど出るか」
カタラが立ち上がると、キョウも立ち上がる。
それに倣うかのように僕達も立ち上がった。
当たり前のようにカタラの後ろに付いていくキョウ。
その後ろを僕とサーシャは並んで歩いていた。
すると、サーシャが小声で話しかけてきた。
「あのさ。キョウの様子…、なんかおかしくない?」
「キョウ?」
そう言われて、僕はキョウの背中を見る。
その姿からは特に変わったところなど感じない。
「さっき、ルーイがうなされてたのに見てるだけだったし」
確かに、僕がうなされてた時にキョウは近くにいなかった。
でも、それだけでおかしいと判断するのは難しい。
「……色々あったから。少し落ち着けばきっと戻るよ」
「そうかな」
不安そうなサーシャの顔。
その不安を取り除きたくて、僕はサーシャの頭をぐしゃぐしゃと思いっ切り弄ってやった。
ボサボサになった髪の毛を必死に整えながら、真っ赤な顔でサーシャは僕に文句を言ってくる。
いつものサーシャに戻ったから僕はホッと胸を撫で下ろした。



