奇跡事【完結】



「そういえば、サーシャはあの男をどこで見たんだろうね」


その話をサーシャに言うのは何故か気が引けて、僕は話題を逸らす。


「やっぱり思い出せないんだよね。
凄く懐かしい感じがするんだけどさ」

「もしかして夢の中で見たとかじゃないの?」

「そんなバカな。繰り返し見ないと流石に私だって顔覚えてないよ?」

「だから、覚えてないんでしょ?」

「ああ、そっか。そうなのかな」



サーシャはううんと唸ると、首を傾げる。
微妙に納得していないようだった。


その時、ガサガサと音がして咄嗟に僕とサーシャは身構えた。
だけど、すぐに顔を見せたのがカタラとキョウでホッとする。
二人の手には狩りで仕留めた動物。