奇跡事【完結】



「少し待っていろ。火が消えない様に枝を足しておいてくれ」

「うん、わかった」



僕とサーシャが頷くと、二人は暗闇に消えて行った。
もう二人の姿は見えない。



「行っちゃったね」

「本当に」



僕達はぽつりと呟く。
パチパチと言う枝が燃える音だけが辺りに響いた。



「……ごめん、サーシャ」

「え?」



これは僕から自然と出た言葉だった。



「僕がちゃんと稽古してたら…。それに居眠りなんてしてなかったら、救えたかもしれないんだ」

「……ルーイ」

「キョウも、カタラも凄いや。
僕なんか到底足元にも及ばないよ」

「バカ。そんな事ないよ」

「そうだって」



自分を責めたってどうにもならない。
だけど、もっと僕にも何か出来たんじゃないかって思えてならない。


誰も、僕を責めてないのはわかってた。
わかってはいたんだ。