「だけど、ルイードは本当は魔導士だったんだ」

「魔導士?勇者じゃなくて?」

「そう。そしてね、パチフィスタの実の兄なんだ」

「……え!?」


パチフィスタの兄?
だって、パチフィスタは兄を殺したと言っていた。

意味がわからなくて、頭を抱える僕にキョウは続けた。



「殺した、そう思ってたんだろうね。だけど、実際は死んでなかったみたいだよ。
それを救ったのがエレノアだったんだ。
救った理由なんてわからないけど、きっとルイードが強い魔力を持っていたからだと思う」

「……」

「ルイードはパチフィスタと会わない様に、生活していたんだ。
魔物が現れて魔導士の手が足りないとなった時に、白羽の矢が立ったのがパチフィスタだった。
協力するかは別として、ね。
それを阻止したのがルイードなんだ。だから、その名前が突然世に広まったんだ」

「……パチフィスタを守る為だったっていうの?」

「そう」


自分を殺そうとした弟を守る為に、魔物討伐に出るなんて。
僕は言葉が出なかった。