「……パチフィスタ」

「だから、さっさと見せてくれる?」

「ありがとう」

「あーーうるさい。そんなのいらない。いらないから早く消えて」

「はは。わかったよ」

「移動の仕方忘れたとかないよね?」

「僕を誰だと思ってるの」

「そうだね、エレノアとデシーヴの息子だよ」



それに、緩く微笑むと目を細めた。
視界に映ったパチフィスタの顔は、今まで見たどの笑顔よりも綺麗に輝いていた。


僕はそして、魔法を使いケーラがあった場所へと向かった。




あれから、僕は何も思い出さなかった。
何の感情も浮かんでこなかった。


キョウが言ったみたいに、魔力を解放したのなら何か心の奥底から湧き出てくる感情があるのだと思っていた。

それがないという事は。


僕の中に宿っているのは、魔物なんだ。
キョウが言っていた嫉妬。
それは人間の感情だという事に気付いた僕は、更に確信した。


ルイードはキョウの中に封印されている。