奇跡事【完結】


「!?」

「……」


それから、剣を引き抜く。サーティスの体からは血が溢れ出し、服を伝って床に滴り落ちた。
サーティスは傷口を抉るように指を突っ込む。

そして、その傷が消えていないのを確認すると笑い出した。


「ふ、ははは。やっと、やっと……俺は死ねる」

「……」

「さあ、キョウ。俺を殺せ」

「……っ」



血で濡れた手を広げ、サーティスはキョウの方を向いた。
息を呑んだキョウ。



「誰も俺を殺せなかった。マークなら俺を殺せると思ったんだ」

「……あの時、マークおじさんの元へ向かったのは」

「ああ。マークに殺して貰う為だ。だけど、そこで俺は聞いた」

「……」

「ルーイとキョウ。二人がマークとエレノアの子供だとな。
力のある二人の元に生まれたお前なら、俺を殺せると思ったからだ」

「俺と、ルーイがエレノアとマークおじさんの子供……?」



初めてその話しを聞いたキョウは、サーティスの言葉を信じられないみたいだった。
マークおじさんがもしもサーティスにそう言ったのなら。


それは本当であり、真実なんだ。