「だから、私は魔導士として忌み子を手にかけた。
あの日、あの人がそうしたように。
憎しみが強まる度に、私の力がどんどんと増して行った」
「……その、村人は」
「殺したわよ。一人残らずね。私を知ってる者は全てね」
それに僕は絶句するしかない。
エレノアに取ったら、人を殺す事なんてきっと造作もないんだ。
「長くなってしまったわね。折角、二人で楽しみたかったのに。
邪魔が入っちゃったじゃない」
「邪魔?」
そう尋ね返すと、誰かが僕の背後に立った。
肩を掴まれて思いっ切り後ろへと追いやられた。
「っ!?」
驚きながら目の前の人物を見上げる。
その後ろ姿は、紛れもないキョウ本人だった。
「キョウ!!」
「……ルーイ、邪魔だ。下がってろ」
「ダメだ。キョウに手は汚させない!」
そう言ってキョウの腕を掴もうとしたが、キョウの手から風が巻き起こり僕は壁へと全身を打ちつけた。
「っ、」
痛みでクラクラとする。だけど、ここでキョウを殺人者にするわけにいかない。
いくら憎んでも、人を殺したらいけないんだ。
キョウはそんな事しちゃいけないんだ。
僕はキョウに向かって、手をかざすと呪文を唱える。
手から炎が噴き出し、キョウの前に壁となって行く手を阻んだ。



