“……俺を殺したければエレノアを殺せ”
「エレノアってのは誰なんだ?」
キョウがそうカタラに尋ねる。
カタラはそれにまた目を見開いた。
信じられないという風に。
「そうか、エレノアも知らないのか。
それじゃあ、お前らはこの伝説も知らないのか」
「……伝説?」
「そうだ。今から数百年以上前に、この世界で戦争が起こったんだ。
人類と、魔物との。
それは酷かったらしくてな。負傷者は後を絶たずに、人類は絶滅すると言われていた。
そこに、一筋の光が見えた。
勇者ルイードは勇敢にもその魔物たちに立ち向かった。
その時に勇者と一緒に戦ったのが、エレノアとマークと言われている」
「そんな事があったんだ」
「まあ、そこまで伝わってないのかもな。もう数百年も前の話しだし、この世界に今魔物なんてモノはいないしな」
「そのルイードはいないの?」
サーシャがカタラに聞くと、カタラは腕を組むと難しい顔をした。
「……ルイードはその戦争で命を落としたと聞いている」
「そうなんだ」
「実際はわからないんだ」
「わからない?」
難しい顔をしたまま呟くカタラに、僕達は顔を見合わせる。
どういう事だ?わからないって。



