「私の産まれた世界は、まだ双子が大事にされていた世界だったの」


決して大きくないのに、エレノアの声はよく通った。


「村の人々は私とカレノアを産んだ両親を、讃えたのよ。
エレノア様、カレノア様と私達は自分の年齢の何倍も上の人達に呼ばれていたの。
最初はわかってなかったわ。だけど、魔法を使えば村人も、両親も喜んでくれる。
そんな嬉しい事ないじゃない」


エレノアは淡々とした口調で続ける。



「だけど、事態が一変したのはいつだったかしら」



―――――…一人の村人が言ったのよ。


「魔法で俺達を殺そうとしてるんだ。エレノア、カレノアはこの村を陥れようとしてるんだ」


そう、騒ぎだす村人。
散々恵みを与えていたにも関わらず、手の平を返す様な態度に言葉が出なかった。


そして、事件は起こったわ。


突然、カレノアが死んだのよ。


何が起こったかなんてわからなかった。

その日。
私が家に帰ったら。




カレノアは死んでいた。
目の前には涙を流す母親と父親の姿。


カレノアは心臓を一突きにされていた。