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パチフィスタは時折言葉を詰まらせていたが、全てを説明してくれた。


エレノアが嫌いな理由も、どうしてサーティスとパチフィスタが知り合いだったのかも。
全てが納得いった。



サーティスが人を殺す事に抵抗がなくなっていたのは、この呪いの所為なんだ。
辛すぎる。あまりにも。


一度だって見たくない。
だけどサーシャの殺される姿を、彼は何度も何度も目の当たりにしたんだ。



「……揺らいだ?」


パチフィスタがそう尋ねる。
それに僕はハッとした。



「いや」


正直、僕の心は揺れていた。
それでも、サーティスを憎む気持ちは存在している。


クスクスと笑うと、パチフィスタは僕を見た。


「殺して欲しいんじゃない。違うよ。僕はサーティスを救って欲しいんだ」

「……救う?」

「そうだよ。この生き地獄からね」

「……」

「もう二度と、サーシャを殺さなくていいように」



それを聞いて、僕は迷いを断ち切った。
揺らぐ気持ちは捨てる。

僕はエレノアを殺して、そしてサーティスを殺す。


また生まれてくるサーシャを救う為に。


それは途方もない覚悟だった。